ザ・達人のオシ本

あなたには幸せになる力がある

酒井雄哉[著]

PHP研究所

■今月の選者:中本忠子(なかもと・ちかこ)

この本は気分転換に出かけた本屋さんで、たまたま出会ったのね。“一日一日を大切にできることが幸せ”とか“無駄な人生などどこにもない”とか、書いてあることは全部好きだけど、そのなかでも私の人生に一番当てはまるなぁと思うのは、“いつでも自分らしく、信じた道を行くことが大切”と説いてくれるところ。

子どもたちにご飯を食べさせる活動を、私は私なりに、これが人のためになると思って今までやってきたけれど、最初はたくさん批判もされたの。「こんなことをしても無駄だ、更正するわけない」とか、「あなたがここまでやってしまったら保護司のなり手がいなくなる」とか。でもそんなこと言われたって、子どもたちに「助けて!」といわれたらねぇ。批判する人の中には私と同じ保護司の人もいたけれど、そういう人はきっと、子どもたちに「助けて」と言われたことがないんやろうね。

でも今にして思えば、そういう批判があったからこそ私はここまで来れたんだと思うのね。偉いね、いいことをしているねと褒められていたら、他の誰かもやってくれるだろって、「私がやらなきゃ」という気持ちにはならなかったと思うんよ。

今うちに来ている子は28人。その中から今年は6人が成人式だったの。子どもたちのごはんのために貯金も全部使ってしまって、今の私はなんにも持ってないけれど、子どもたちが更正してくれたら、それが私の財産と思ってるんよ。ほんと、この本に書いてある通り、“頑張っていればいつかはうまくいく”のよねぇ。


プロフィール
広島県江田島市生まれ。1980年より保護司を務め、その活動から、犯罪を犯す子どもの多くが“空腹から非行に走る”ことに気付く。以降39年にわたり、さまざまな問題を抱える子どもたちに食事を無償で提供する活動を続けている。NPO法人「食べて語ろう会」理事長。2014年に法務省保護局長特別感謝状、2015年に社会貢献支援者表彰、2016年に吉川英治文学賞、2017年に第26回ペスタロッチー教育賞、内閣府「子供と家族・若者応援団」表彰を受賞。近著に『あんた、ご飯食うたん? 子どもの心を開く大人の向き合い方』(カンゼン)。

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