みんなのオシ本レビュー

テーマ:旅の本

旅と人生と穴

みみず さん

千葉県

春にして君を離れ

アガサ・クリスティー(著),中村妙子(翻訳)

早川書房

一般に「自分探しの旅」というとなんとなくポジティブなイメージを描く。実際に私も旅行をしたいなと思う時は大抵「人生どん詰まり」であり、なぜか人生の突破口が旅にある気がするからだ。しかしその突破口はいつもそんなに都合の良いものなのだろうか。この物語の主人公ジョーンは娘の病気を見舞ったバグダッドからイギリスへの帰路の途中、砂漠の真ん中で足止めを食らう。砂漠という閉ざされた孤独な場所で、それまで瞑り続けた片目を開け、両目で人生を見つめてみる。すると築き上げてきた完璧な人生が砂の如く脆かったことを知る。しかしこれこそが彼女の人生の突破口なのだ。その穴を塞ぐか出口にするかは自分次第。でもその穴さえ見つからないなら、この本を片手に旅に出てみるのはいかがだろうか。

旅の一人称は自分
なのだということを
思い出させてくれました。

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