みんなのオシ本レビュー

テーマ:笑いが生まれる本

静かに「ふふふ」 言葉の海から人間を眺める一冊

佐藤ユンコさん

千葉県

音の表現辞典

中村明

東京堂出版

例えば笑い声を表す言葉なら「あはは」や「くすくす」など、いくつも挙げることができる。そして日本語を母語とする人は、その語感から本能的に、それがどういった笑いかを察知することができるだろう。それほどまでに私たちは、自分のことや周囲の事物を表現するために、様々な音を言葉に当てはめてきた。本書では、それらの表現と使われ方を、夏目漱石から村上春樹まで古今の作家作品の文章を集め、項目ごとに紹介している。昔と今では異なっている事物も多いが、時代が変わっても言葉には、変わらない人間の姿が映し出されている。「げらげら」笑うような本では決してないが、ぱらぱらめくって好きなところを読めば、昔から変わらない人間の可笑しさと愛しさに、思わず頬を緩めてしまうだろう。