みんなのオシ本レビュー

テーマ:いろんなLOVEの本

恋文と瞳は愛に輝いて...作家向田邦子さんの秘めた恋

青森美和さん

北海道

向田邦子の恋文 

向田和子

新潮文庫

邦子さんは恋をした。恋人は妻子ある人だ。秘めた恋には、ままならないことがたくさんある。だから邦子さんは、思いを手紙に託した。その言葉には、後ろ暗さや涙の痕はない。むしろ、持ち前のユーモアが散りばめられている。恋人が思わずクスッと笑ってしまうような。その明るさは、恋人がやがて病に侵され、苦しみ弱っていく姿を看るようになっても失われることはない。二人の恋は、未来に何の約束もなく、行く末に夢や希望の見えるものではない。けれど、邦子さんの恋文にたゆたう楽しい気分は何だろう。まるで、冬の日のカランと晴れた青空のような。『私をご覧なさい』写真の中の邦子さんが笑いかけていた。カメラを見つめる瞳には、撮影する人の影が。恋人は写真家だった。

苦しみを覆うほどの、静かで強い恋をよく捉えていると思います。

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