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テーマ:時代のヒーローの本

英雄が勧善懲悪だなんて、誰が決めた?

あかいでんしゃさん

神奈川県

国盗り物語(一)〜(四)

司馬遼太郎[著]

新潮文庫

 悪を懲らしめ、私欲よりも人助けを優先する。英雄と聞きそんな人物を思い浮かべた人は、斎藤道三を非難するかもしれない。時は戦国時代、乞食同然の修行僧が一国一城の主を目指す物語だ。切れる頭脳、超人的な体力、運の強さを味方につけ、彼は国盗りをすすめていく。一方、野望を叶える為には恩人をも裏切る残忍さも持ち合わせていた。実際に長い間「悪人」だと嫌われ、英雄とは正反対として扱われてきた。だが、加速度的に世の中が変化するこの時代、善悪の線引きなどできるのだろうか。新たな時代を創るには古い体制から非難されることもあるだろう。彼は向かい風にも怯まずに、一心不乱に夢を追う男なのだ。周りの空気を読む自分に辟易しているからこそ、そんな英雄に憧れる。

(C)新潮社