みんなのオシ本レビュー

テーマ:いいお酒の本

いい酒を飲むにも、知恵がいる

丸太さん

福岡県

夜は短し歩けよ乙女

森見登美彦

角川文庫

いい酒を飲みたい、持って来いと言って実際に出てくるのは、金持ちだけで、金も払えないのに、酒を飲みたいと駄々をこねても相手にされない。だから、人はスーパーで身の丈に合った安酒を購入したりする。また、高い酒を飲んでも、酒の席の居心地が悪く、楽しめなかったりする。そんな酒しか飲めない己を、惨めだなと思う自意識があれば、酒を楽しめるわけがない。 本書に登場する、黒髪の乙女は、京都の大学生であり、銭は持たぬが、自らを卑下することはない。だから、一杯三百円のカクテルでも、宝石のように大事にいただく事ができる。自らの立場を見失わず、好奇心から、旨い酒を求める彼女だからこそ、酒と人が集まり、銭では買えぬ幻の酒にたどり着き、京都の街に奇跡を起こす。