みんなのオシ本レビュー

テーマ:青い春の本

竹林の迫間(はざま)で恋をした。

GONSHANさん

神奈川県

竹林精舎

玄侑宗久(著)

朝日新聞出版

お坊さんだって恋をするのだ。福島で住職になったばかりの若い主人公には好きな女の子がいる。沸き上がる欲望と妄想、しかしいまどきには珍しいオクテでなかなか話は進まず……。他にも大きな問題がある。放射能だ。東日本大震災による原発事故の放射能被害はいまだ全貌がわからず、福島の人々は安心を求め、また不安に揺れ動く日々を過ごしている。それでも恋は止まらない、生きていればこそ。さて彼はいかにしてこの恋を成就させるのか。お寺の生活や主人公が初めての葬儀で戒名に取り組む様子などがとても興味深く、さすが芥川賞作家僧侶である。放射線量が高いといわれる竹林に爽やかな風が吹き渡る。「愛し合うって被曝し合うことだよね」こんなセリフが出てくる青春、ほかの誰に書けるだろうか。