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わだりょうさん

PROFILE

1969(昭和44)年12月、大阪府生まれ。
早稲田大学政治経済学部卒。
2003(平成15)年、映画脚本『忍ぶの城』で城戸賞を受賞。
07年、同作を小説化した『のぼうの城』でデビュー。
同作は直木賞候補となり、映画化され、12年公開。
14年、『村上海賊の娘』で吉川英治文学新人賞および
本屋大賞を受賞。他の著作に『忍びの国』『小太郎の左腕』がある。

(C)新潮社

わだりょうさん の
オシ本は・・・

『レジェンド歴史時代小説 列藩騒動録』(上)(下)海音寺潮五郎[著]小川高義[訳]/講談社文庫

七十年ほど前にひどい負け戦を経験したからだろうか、我々現代人は英雄という言葉の胡散臭さと儚さを知り、「誰々は英雄だ」とシンプルに主張する危うさを理解している。今回のレビューもまた「有名ではない」「負けた」「英雄とは正反対」といった、どこかひねった人物を英雄とする本が多数を占めた。ヒーローの概念には複雑さや細やかさが不可欠になっているのだ。今の時代において、これらレビューのようなものの捉え方は貴重だと思わずにはいられなかった。

わだりょうさん のオシ本

 現実の御家騒動とは新旧の重臣どものいざこざや、急な出世をねたむ者による足の引っ張り合いが実態で、結果的に勝った者が正義派となり、負けた側を悪者として記録しただけなのだと分かり、英雄など期待できないかのように思えます。しかし悪人とされた人の中には、なし難いことをなした人物もいて、英雄的なことには紛れもない。英雄とは扱われ方次第であり、従って我々のまわりに英雄はもっと存在しているのでしょう。

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