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まちだ こうさん

PROFILE

作家、ミュージシャン。1962年大阪府生まれ。
高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。
97年に初小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、
Bunkamuraドゥマゴ文学賞、
2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。
01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、
02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞を受賞。

まちだ こうさん の
オシ本は・・・

『第一阿房列車』 内田百閒[著]/新潮文庫

犬や猫はお酒を飲まないが、人間はなにかと理由を付けてはお酒を飲む。つまり飲酒は人間だけがすることだから、文学は人間を書くもの、と仮定すれば私たちはお酒について書かないわけにはいかない。そのことをレビューを読んで改めて思った。評者のお酒が好きな気持ち、酒席の楽しさが伝わってくるレビューが多く、レビューを読み、そしてこれらの本を読んだ人は本を読みたくなると同時に酒場に出掛けていきたくもなるだろう。読んでから飲むか、飲んでから読むか。また、本のことと自分自身のことをバランスよく書けているものが多く、その点にも感心した。

まちだ こうさん のオシ本

名文家・内田百閒の爆笑旅行記で、何の用もないまま列車に乗るために列車に乗り、行った先でなにもせず、また、列車に乗って帰ってくる、それだけの話がどこを切り取っても完璧な文章で描かれているが、その間、ずっとお酒を飲んでいる。尊大でキュート。何度も読み返したくなる名文章である。

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