今月の話題本レビュー

首折り男のための協奏曲

伊坂幸太郎

新潮社

定価670円(+税)

ユニークな人物と事件が絡み合うシュールな短編集

日常から少しずれたシュールな世界に連れて行かれる感のある7つの短編集である。巻頭の「首折り男の周辺」は、首の骨を折る連続殺人犯と、彼にそっくりな大男の飄々(ひょうひょう)とした物語。「僕の舟」は、遠い昔の思い出となった4日間だけの恋の相手を探す主婦と、調査する探偵のやり取り。言葉遊びの妙が楽しめる。「人間らしく」は、少年たちのいじめと不倫、クワガタの飼育という脈絡のない話が、「神も仏もない」というキーワードでカチッとひとつになる。それぞれの短編はテイストの異なる完結した物語である。しかし、登場人物やモチーフが少しずつ重なり合っているため、読み通すと一幅の不思議な絵が浮かび上がるような面白さを味わえる。