今月の話題本レビュー

凍える牙

乃南アサ

新潮社 定価810円(税込み)

連続咬殺事件の謎に迫る直木賞受賞ミステリー

 男社会で傷つきながらも、正々堂々と生きようとする女性刑事の生き方が共感を呼び、直木賞を受賞した超ベストセラー。深夜のファミリーレストランで突如、男性の客が炎上した。男は時限発火装置のついたベルトをつけ、足には獣による咬傷(こうしょう)が残っていた。女嫌いの中年刑事と捜査にあたることになったのが、警視庁機動捜査隊の音道貴子。30代バツイチの元白バイ隊員である。やがて同様の咬殺事件が続発し、オオカミに近い大型犬の仕業とされた。被害者たちは、なぜ無残な死に方をしなければならなかったのか。事件を探るうちに、貴子はなぜか、まだ見ぬオオカミ犬に心を通わせていく……。ものいわぬオオカミ犬の気高さが、ただひたすら胸に迫る傑作ミステリー。

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