今月の話題本レビュー

夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく

汐見夏衛

スターツ出版

定価1200円(+税)

思春期の繊細な心模様を透明な筆致で描く青春小説

「俺はお前が嫌いだ」。高校2年のとき突然、同級生の青磁にいわれた茜。成績優秀な学級委員長で、常に空気を読み、優等生を演じているのになぜ!? 人前でどうしてもマスクをはずせなくなった茜は、学校では皆に頼られ、家に帰ればひきこもりの兄がいて、パートと育児で忙しい母にも頼られ、次第に追い詰められていきます。そんな茜に、ぶっきらぼうながら温かい眼差しを向けたのは、意外にも青磁でした。そして、文化祭でたまたま青磁の絵を目にしたことから、固く閉ざされた茜の心は溶け始めます。しかし、青磁にはある秘密があり、茜は再び冷たい言葉を浴びせられ……。タイトルの本当の意味を知ったとき、切ない思いに胸打たれます。