今月の話題本レビュー

歴史文化ライブラリー 462 龍馬暗殺

桐野作人 [著]

吉川弘文館

定価1800円(+税)

謎多き暗殺の深層に迫り 幕末維新の様相を探る

慶応3年(1867)、坂本龍馬が京都の醤油商近江屋で暗殺された「近江屋事件」。資料は決して少なくないのに、なぜか謎多き事件とされています。それは、不安定な政局により、各種勢力の思惑が錯綜していたから。歴史作家として活躍する著者は、襲撃者のひとり、見廻組の今井信郎の供述書を再検討し、まず加害者側の動向や意図を明らかにしていきます。そして、数多の資料を渉猟し、廃幕派vs保幕派という対立軸を設定。一会桑勢力の動向にも注目し、当時の京都政局の様相を探ります。さらに、小説や映像によってつくられた龍馬像をひとつひとつ検証し、薩摩藩による暗殺黒幕説に否定的な見解を示します。暗殺の深層に迫ることで、龍馬研究、幕末維新研究に一石を投じる一冊。